手袋物語 / 『幸せはシャンソニア劇場から』

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もう20年ほど前に、手袋デザイナーでブランド MANI MANI の設立者の福島令子さんに作って頂いた、主人の手袋です。

主人は、1920年代頃にモーターサイクルや飛行機、自動車を運転する時に使われていたガントレットが欲しくて、自分なりにデザインしていたところ、当時、オーダーメイドの手袋を作っていらっしゃった福島さんのお店を見つけ、お願いしたそうです。

頑丈で、しかも指先がピッタリとフィットして、細かな指の動きも妨げないという、面倒な注文にもしっかり応えてくださって、ちょうどよい革を選んで頂いて出来上がった手袋です。

主人は、この手袋がとても気に入って、ずっと使っていました。


              ◇


ところが、ある冬の日、夜仕事から帰ってきた主人は、この大切な大切な手袋の片方が、無くなっている事に気が付いたのです。

帰り道を辿って探そうにも、その日に行った職場は、自宅から片道3時間ほどかかる深谷で、戻ろうと思っても既に電車がありません。

主人は、よく職場の近くの公園や河原などをカメラを片手に散歩しながら帰ってくるので、落としたとすれば、その辺りだと思われます。
写真を撮るために、手袋を外しますから。

愛着のある物を落として無くすというのは嫌なものですが、こういう時の、主人の執念はすごいです。

翌日は別の所で仕事がある日だったのですが、とにかく何が何でも絶対に見つけ出すということで、仕事前に、鎌倉発の始発に乗って出掛けました。

自宅から鎌倉駅までは、まだ江ノ電もない時間ですので、徒歩です。

そして、少しでも目的地に早く着くために、東京駅から熊谷へは迷わず新幹線を使って、現地に向かいました。




深谷に着いても、まだ早朝です。

さて、捜索開始です。

いろんな不安が交錯しつつ捜索している主人ですが、なぜか写真も撮っていますね・・。



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この後、前日最初に写真を撮った公園に辿り着きます。

そうしたら、あったのです!



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一晩放置されて、霜を被っていました。



手袋を落とすと、大概見つかりませんが、新幹線に乗って探しに行った甲斐がありました。

この後、その日の仕事にも間に合いました。
主人が上機嫌で職場に向かったことは、言うまでもありません。



・・・良かったねぇ。

私もホッとしましたよ。


              ◇


今日の音楽は、2008年のフランス・ドイツ・チェコ映画『幸せはシャンソニア劇場から』(原題:Faubourg 36)のオープニングの曲です。

フランスの大衆の娯楽は1930年代に新しいスタイルへと転換していきます。
古い寄席芸人が廃れていき、洒落たシャンソンが人の心をとらえていく、その変わり目を描いている映画です。


これも主人のお気に入りの映画です。
主人はとにかく、1920~30年代が好きなのです。

そしてその頃の事に詳しくて、見てきたように話すので、よく親友から、「おまえ、何時から生きているの?」と聞かれています。






              ◇


主人は前にも落し物をし、執念というか、念力で取り返した事がありました。

その時は実に不思議で、あちらから帰ってきたような感じがありました。

そのエピソードは、 帰って来たセミのブローチ に書きました。


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16 Comments

Violetta  

Arianeさまこんにちは^^
お気に入りの手袋、見つかって良かったですね〜。
でも、旦那さま すぐに行動に移されて、見つかって本当に良かったです〜。
それにしてもオーダーメイドの手袋、デザインもお洒落です〜♪
旦那様がいかにセンスが良くてお洒落な方か解ります〜^^
(私もそんな人を選べば良かったです。。^^;)
お洒落は人を綺麗に見せてくれますし,気分も良いですしね〜。
それにしてもご趣味が合うって良いですね〜。
ご夫婦揃ってお洒落ですので,ご一緒にお歩きですときっと格好良すぎてで目立たれるのでしょうね^^
少しお洒落してお出かけなんて憧れます。
蝉のブローチの記事も拝見させていただきました^^
旦那様それにしても,とてもお洒落!お洒落な方,私も好きです。
とても良い時代の音楽ですね。
3拍子のワルツ。。。お洒落な方しか聴かないと思います^^
レトロという感じの時代のファッションや雑貨、音楽、私も好きです^^

2015/01/16 (Fri) 12:06 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: Violetta さま

Violetta さま、こんにちは^^
いつもコメントありがとうございます。

手袋、見つかって良かったです。
手袋は一方をなくしてしまうと、片方だけではどうしようもありませんが、お気に入りの場合、それで残った一方を処分するのも嫌ですよね・・。

私たちが二人でいて目立つということはありませんが、主人は私よりお洒落です。
すごくお褒めくださって、ありがとうございます。
ただ、スーツから小物まであまり揃え過ぎたりすると、昔の映画から出てきたみたいになってしまいますね・・。
主人はファッションが好きで、私の服の事にも、私自身より主人の方が熱心で、いろいろ見つけてきたり、勧めてくれたりしています。
ファッションや音楽に関しては、もともと主人と趣味が一緒だというわけではありませんが、私の方が大分影響を受けました。
Violetta さまも、クラシカルな物がお好きそうですよね。
いつも、Violetta さまのお宅の調度品が素敵だなぁ、と思ってブログを拝見しています。
昔のものって良いですよね^^

YouTube も、いつもお聴きくださって、ありがとうございます^^
こちらの音楽は、映画に合わせて作られた曲なんだと思いますが、随分上手く、昔っぽく作っていますね。
懐かしい感じがします。

また、セミのブローチの話もお読みくださって、ありがとうございます。
ブローチは小さいし、どこで落としたのかも殆ど分からなかったうえ、相当日数が経っていて、大雨が降ったり、草刈りが行われたり・・の後で、よく見つかったと思います。
良い細工の、可愛いセミだったので、無くなったと聞いて私も寂しかったし、奇跡的に見つかった時は喜びました~。

2015/01/16 (Fri) 16:06 | EDIT | REPLY |   

コウコ  

Arianeさん、こんばんは。

手袋物語は素敵な短編を読み終えたあとの心地良さを覚えました。
愛用の手袋は、ご主人がデザインされたガントレットとは素敵です。
私も何度も手袋を落としましたが、手元に戻ることはありませんでした。
愛用の品だけに思いが通じたのですね。
手袋と云う、物を超越しているような・・・心に残るお話でした。

古都鎌倉には不思議とエキゾチックな雰囲気のカフェが似合いますね。
鎌倉の土地柄なのでしょうか。
カフェ歐林洞は、やはりモリスの壁紙と床だったのですね。
モリスの野鳥と花のデザインが大好きなものですから。
美味しいケーキ、そして食器もインテリアも素敵で、お写真がら伝わる
雰囲気だけでも優雅な気分にさせて頂きました。

2015/01/16 (Fri) 19:17 | EDIT | REPLY |   

UP  

こんばんは。

こんなに大事にしてもらえる「手袋」さん、幸せですね~♪

2015/01/16 (Fri) 20:50 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: コウコさん

コウコさん、こんばんは^^
いつもコメントありがとうございます。

コウコさんのような文学的才能をお持ちの方から、「短編小説を読み終えたような」といったお褒めのお言葉を頂けるのは実に光栄です。
この手袋を探しに行った話は、私たちの間では、もう笑い話になっていますが、人様にお読み頂けるものなのか(?)と思っていました。
愛用品には、どこか自分の<気>というか、魂の一部が入り込んでいるような感じがします。
単なる損失というより、そういうものが行方不明になる感じが嫌です。

鎌倉の近年の混み具合はひどいですが、やはり東京と比べたら、ゆったりした雰囲気があるかもしれませんね。
カフェも、駅からちょっと離れると、静かで寛げるような所があります。
歐林洞は特に、写真に写っているテラス石が良いです。

コウコさんも、ウィリアム・モリスがお好きなのですね!
本当に素敵ですね。
今まであまり意識していませんでしたが、私もこれから気を付けて見てみようと思いました。

2015/01/16 (Fri) 22:18 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: UP さん

UP さん、こんばんは^^
コメントありがとうございます^^

主人は、まるで生き物のようにモノに情を注ぐところがあり、その気持ちがこちらにも伝わってくるので、お気に入りのものを落として無くしてしまったりすると、私も妙に忍びない気がしてしまいます。
そういうものが無事に帰って来ると、何とも嬉しいですね♪

ただ、そうして物を大事にしている内に、家の中が物で溢れてくるのです・・。(^^;)

2015/01/16 (Fri) 22:20 | EDIT | REPLY |   

ドナ夫  

手袋が戻ってよかったですね。

こんにちは~。

旦那様の執念が実り、手袋が無事戻り良かったですね。
鎌倉から深谷、結構な距離ですから、すごいなと思いました。
持ち物に対する愛が通じたのでしょうね。

鎌倉のご案内、ぜひお願いします!
ただ、いつ伺えるかはわかりませんが。。。

間もなく、大寒ですね。
お体、ご自愛くださいね。

2015/01/17 (Sat) 15:16 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: ドナ夫さま

ドナ夫さま、こんにちは^^
いつもコメントありがとうございます。

ドナ夫さまは、深谷をご存知とおっしゃっていましたっけ。
随分遠いんですよね。
それも、鎌倉駅からではありませんからね、かなりあります。(笑)
しかも、見つかる保障もないのに、よく行ったと思います。

鎌倉は、いつでもいらっしゃる時に、是非ご連絡ください。
私はガイドとしては結構頼りない方ですが、お目にかかれるのを楽しみにしておりますね。

もうすぐ大寒ですか・・。
昔、大寒に水行をしたのが、今では信じられないほど、寒がりになってしまいました。
風邪も流行っているようですし、ドナ夫さまも、どうぞお身体ご自愛くださいませ。

2015/01/17 (Sat) 17:33 | EDIT | REPLY |   

mikitaka08  

こんばんは

 これは素敵な手袋ですね。
 皮革油もたっぷりと塗られ、丁寧にあつかわれています。スキー用グローブはたくさんある私にとって、このての手袋をきちんと見たのは初めてです。
 蛇腹カメラとお似合いでお洒落な雑誌に出ている感じです。

 それにしても、よく見つかりましたね。
 新幹線に乗って探しに行かれたご主人の熱意に驚きました。
 見つかって本当に良かったですね。
 奇跡はあるのですね。

2015/01/18 (Sun) 00:48 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: mikitaka08 さん

mikitaka08 さん、こんにちは^^
いつもコメントありがとうございます。

革製品の好きな人は、油を塗ったりして手入れをするのも好きかもしれませんね。
私も、結婚してから主人の影響で、革製品の魅力が分かってきました。

このての手袋の起源は、ヨーロッパの騎士の手袋だったのかもしれませんね。
主人はこの手袋を、昔の零戦のパイロットの手袋や、1930年代のアメリカのシアーズの服飾&雑貨のカタログ、戦前モータースポーツ関連の高級紳士用品を扱っていたダンヒルのカタログ、アガサ・クリスティーの映画といった資料を基にデザインしたそうです。

それにしても、この手袋を落として帰ってきて、翌朝新幹線に乗って探しに行くと言い出した時は、私も心配しました~。

2015/01/18 (Sun) 11:40 | EDIT | REPLY |   

yuccalina  

こんにちは。
ダンナさん凄いですね。その手袋との深い縁を固く信じてて、きっと戻ってくると確信してたみたいです。オーダーメイドで自分の手にピッタリなら、もう皮膚の一部みたいなものかも?人工的に作られた皮革や化学繊維でなく本革製という、生命との繋がりが感じられる素材だったことも無関係でない気がしました。

それにしても、手袋って大抵片方だけ落としますよね。この時期は近所を散歩中、歩道で手袋の落とし物をよく見かけるのですが、大抵は何日も放置されることなく、なくなってるので、無事に回収されることが多いのかなと思っています。

2015/01/18 (Sun) 15:40 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: yuccalina さん

yuccalina さん、こんにちは^^
いつもコメントありがとうございます。

大体主人はモノに対する思い入れの強い人ですが、この手袋は自分でデザインしていましたし、特に思い入れが強かったと思います。
本当に、主人の一部みたいになっていたと思います。
そういうものが無くなるのは、嫌なものですね。
人の手袋でも、落ちているのを見るのは物悲しいですね・・。

モノと人の繋がりというのは、ありますね。
私は、モノとの間で<気>のやり取りのようなものがあると感じています。
使っていると、そこに自分の<気>が入るんですよね。
自分もモノから、それがもつ<気>を貰うので、新しい物を買ったりすると、ちょっと元気になるように思います。
<気>のやり取りというのが、人間にとっても、モノにとっても、すごく力になっているような気がしています。
もちろん、人同士の<気>のやり取りも活力になりますね。

2015/01/18 (Sun) 21:23 | EDIT | REPLY |   

タムタム  

ご主人、以前もブローチでした?
見つかりましたものね!
たいせつに思う気持ちが半端じゃないのがモノにも
きっと伝わるんでしょうね。
諦めないその気持ちこそ、だいじですね。

それにしてもかっこいい!
いい色合いになっています。

2015/01/19 (Mon) 15:42 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: タムタムさん

タムタムさん、こんにちは^^
コメントありがとうございます^^
ブローチの話も覚えていてくださって、嬉しいです。
あの時も、コメント頂きましたよね。
モノって、大切にしていると、気持ちが宿るようなところがありますね。

手袋、お褒めくださってありがとうございます。
タムタムさんも、モノの質感とか、大事にされていますよね^^
皮製品は、私も主人の影響で好きになりました~。

2015/01/19 (Mon) 21:03 | EDIT | REPLY |   

凛  

ここまで愛された物達は幸せですね。読みながら蝉のブローチのお話を思い出していたのですが、やっぱり最後に^ - ^

手袋を作られた方ももしこのことを知ったら物凄く感激されるでしょうね。やっぱり本当によい物は、人の心を掴むのですね。

昔、まだ夫と付き合っていた頃、仕事で野山を駆け回っている間に、買ってもらって数ヶ月しかたっていない大事な時計をなくしたことを思い出しました。
でも、他の仕事仲間も一緒(当時社内恋愛で秘密)、腰が抜けそうなぐらい苦手な蛇が沢山でる場所での調査(爬虫類調査ですからね…笑)、草も深く、歩いた場所も広大すぎて…ということで、泣く泣く諦めました。
でもご主人様ほどちゃんと大切にできていなかったのかもしれません。

2015/01/26 (Mon) 21:58 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: 凛さん

凛さん、こんにちは^^
温かいコメント、ありがとうございます。

蝉のブローチの話は大分前に書いたような気がしていましたが、凛さんもお読みくださっていたんですね!
あの時も無事に戻ってきましたが、大騒ぎでした~。

凛さんの時計は、残念でしたね・・。
出てくるものと出てこないものと、ありますね~。
持ち物を無くすのって、単に損失が悲しいというより、そこに籠っている気持ちがあるから、嫌なものなのでしょうね。
主人も他に手袋を落としたことが何度かあって、それらは出てこなかったんです。

それにしても、凛さんは随分ヘビが苦手なご様子ですね。
環境のお仕事とおっしゃっていましたが、爬虫類調査などもされていたんですね。
ヘビが苦手で、爬虫類調査は怖かったでしょうね。
私はヘビと虫では、毒蛇でない限りは虫の方が(それは毒がなくても!)苦手なのですが、稲村ケ崎の職場は裏が山なので、虫が多いんです(^^;)
虫が怖いと言うと笑われそうなんですが、でもすずめ蜂とかも多いんですよ~。

2015/01/27 (Tue) 12:53 | EDIT | REPLY |   

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