ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』

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雨で外出しにくいこの季節、お家で紅茶でも飲みながら、こんな小説を読んで過ごすのも楽しいです。
映画化もされており、すでにご存知の方も大勢いらっしゃるでしょう。
ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』。

この小説のモチーフは、レベッカという、実際には一度も登場しない女性の名前がタイトルにまでなっているのに対し、主人公の女性の名は、ついに最後まで出てこないという点に象徴的に表れています。
機知と美貌に富み、洗練され、生まれが良く、全てにおいて非の打ちどころのないレベッカ。
その強烈な個性に対して、自信にも威厳にも経験にも乏しい若い主人公の控えめな誠実さがコントラストを成しています。

主人公の女性は、身分も年齢も違う男性を愛し、思いがけず求婚され、突然彼と結婚することになります。
大勢の召使を抱える、古い大邸宅での豪奢な暮らし。
その描写を読むだけでも贅沢をした気分になります。

ところが主人公にとって、この豪邸での愛する夫との新しい暮らしは、極めて居心地の悪いものです。
夫が愛している彼女の初々しい若さは、彼女にとってはコンプレックスの種でしかありません。
しかも彼女は、夫がレベッカを愛しているのだと思い込んでいるのです。
そして、レベッカと違い、自分が社交的に洗練されていないことを恥じ、いつもレベッカに引け目を感じ、その影に怯えさえします。
そうした女性の煩悶が、スリルとサスペンスの中に織り込まれ、謎めいた幻想的な雰囲気を醸し出します。

本当の品性とは何か、が描かれている小説。


物語は結末で劇的な急展開を迎え、すべての謎と秘密が明らかになります。


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2 Comments

eiko  

レベッカ、はサスペンス小説になるんでしょうか。
あのスリル感と恐怖感、結末まで息つく暇もない展開にドキドキします。
Arianeさんの解説を拝読したら、またまた読みたくなってしまいます。
小説や映画の解説をされたらいかがでしょうか?
素晴らしいご紹介です。
感動しました!

2012/06/22 (Fri) 23:35 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: eiko さん

ありがとうございます。
この本は、特に好きな一冊です。昔一回読んだのですが、大分忘れていたので、私ももう一回読みました。読み終わってしまうのが勿体無くて、ゆっくりゆっくり、噛み締めるように味わいながら読んでいたのですが、やっぱり終盤は一気に読んでしまいますねー。

2012/06/23 (Sat) 00:45 | EDIT | REPLY |   

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