イチョウの木 / アズナブール Hier Encore

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主人が昔のフィルム・カメラで撮ったイチョウの木の写真です。

ちょっと感傷的に、今日はシャルル・アズナブールの歌を付けておこうと思います。
Hier Encore (邦題「帰り来ぬ青春」1964年)という歌です。

アズナブールは、なんて美しい抑揚で歌うのでしょうね。
フランス語の流れがとても綺麗に聞こえます。

今日の記事はこれだけですし、やっぱり訳があった方が良いかと思いまして、急遽、拙訳を付けることにしました。
私は仏文科じゃありませんし、そもそも文学的でもありませんので、まあ、自分の勉強にもなるように、という感じです。

途中、敢えて「未来の事を語る」と訳したのは、"conjuguer au futur" というフランス語なのですが、これは面白い言い方をしていると思いました。
直訳すると「動詞を未来形に活用させる」ということです。

フランス語だと、直説法や接続法、命令法・・・といった<法>と、現在や未来・・・といった<時称(時制)>と、一人称単数や二人称複数・・・といった<人称>と<数>によって、動詞の語尾が変わってきますが、それを「動詞の活用(conjugaison)」と言います。
時制変化という概念が日本語にはないから、"conjuguer au futur" という言い方の面白さは、日本語には訳出できないなぁ、と思いました。





まだほんの昨日のこと
僕は二十歳だった
時を弄び
愛の戯れのように人生を演じ
去り行く日々を顧みぬまま夜を生きた

宙に浮いたままの多くの計画
消え去り失われたきりの多くの希望
行くべき所も分からずに
瞳は天を求めるが
心は地に埋もれたまま

まだほんの昨日のこと
僕は二十歳だった
時を止められると思って無駄に過ごした
止めるばかりか先駆けるつもりで
無闇に走り回って息を切らせた

過去を振り返らず
語るのは未来の事ばかり
会話ではいつも自分を押し出し
良かれと思って意見をし
無遠慮に世の中を批判していた 

まだほんの昨日のこと
僕は二十歳だった
愚行に時を費やし
結局残った確かなものは
額の皺と倦怠への怖れ

恋人たちは存在すらしないまま息絶え
友人たちは去ったきり戻って来ない
僕が犯した過ちのために
僕は自らを孤独にし
人生と青春をふいにしてしまった

最善と最悪とがあったのに
僕は最善の方を投げ出し
微笑みをこわばらせ涙を凍らせた
僕の二十歳は今どこに
今どこにあるのだろう




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                  ◇

                  ◇

                  ◇


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10 Comments

凛  

これまた絵のような詩的な写真を撮られるのですね。
なんだか悲しげな感じがフランス語の歌と合いますね。

旦那様、なんだか大正ロマンが似合いそうな紳士のイメージがだんだん定着してきました(笑)

2013/11/24 (Sun) 20:14 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: 凛さま♪

コメントありがとうございます^^

秋だなぁ~という感じで、ちょっとこんな歌を思い出しました。
アズナブールの中でも、よく聴かれる曲なのではないかと思います。

主人は私と二歳しか違わないのですが、何故か年配の方と、戦前の銀座がどうだったとか、そういう昔の話で盛り上がる人なのです~。
何故か、見てきたように話すのです。
前世にでも、居たんですかね?
昔を妙に懐かしがるし・・・。

2013/11/25 (Mon) 00:35 | EDIT | REPLY |   

ハゼドン  

人生の「秋」でしょうか。

Ariane様

若い頃のあの根拠のない自信は一体どこから沸いてきていたのでしょうか、「情熱」と言えば聞こえはいいのですが、「無謀」とも思えるエネルギー感が漲っていたような気が致します。
詩を読ませて頂き、そんなことを思い出しました。

先日、20歳過ぎの青年達と語る機会がありました。
就職にしても、趣味にしても、私などの感覚とは全く異なるのです。
合理的なのかもしれませんが、一つ一つの考え方が、冷ややかで全く「情熱」を感じさせられませんでした。

私自身の経年による思考の硬化でしょうか・・・。

2013/11/25 (Mon) 05:53 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: ハゼドン様♪

コメントありがとうございます^^

無限の可能性というのは言い過ぎにしても、若い頃は未来の可能性がいろいろあって、それが希望にもなっていたのでしょうね。
私も若い頃を思い出すと、随分勇気があった、というか、無謀だったと思いますし、今はとてもあんな事はできないと思います。
人生も折り返し点を過ぎますと、今までに出来た事、出来なかった事、やらずにきてしまった事、尚やらなくてはならない事など、いろいろ思うようになりました。

最近の若い方たちは、「さとり世代」とか言われていますよねぇ。
バブルの崩壊やネット、ソーシャルメディアなどの普及が原因と言われているようですね・・・。
社会全体の雰囲気によって、人の個性も生き方も変わってくるなぁ、と思いますし、その点でも、良い社会を作っていけたら良いと思います。

2013/11/25 (Mon) 11:27 | EDIT | REPLY |   

まーさん  

若い頃は

イチョウのお写真、美しいですね。
これはどちらで撮られたのでしょう、素敵な場所です^^
アズナブールの歌声とピッタリな気がします。

Arianeさまの訳付きで、歌をより深く理解することが出来ました。
なぜか、
♪青春時代の真ん中は道に迷っているばかり♪
という歌を思い出しました(古い・・・)

20歳の頃の自分、今思うと恥じ入るばかりの傲岸不遜、
夢も希望ももやもやの中に限りなく広がっていたような、
毎日が発見と楽しみで満ちていたような・・・

意味もなく鋭く尖がっていた自分の若い頃を、
思い出させる歌詞ですね・・(苦笑)

2013/11/25 (Mon) 19:05 | EDIT | REPLY |   

Violetta  

こんばんは^^
昔のフイルムのお写真・・凄くレトロな雰囲気に撮れていますね~。
雰囲気が素敵です。
イチョウの木はロマンチックですね~。
私はフランス語はさっぱりわからなくて・・
イタリア語のように男性名詞、女性名詞、動詞の変化があるのですね。
フランス歌曲を歌いたいとずっと思っていながら・・
馴染まないフランス語に・・躊躇している自分がいますが・・
やっぱり、フランス歌曲を歌いたいという気持ちは強いです。
頑張って歌ってみようかしら~。
動画拝見しました。
何故か松崎しげるの歌と重ねてしまいました。。笑
訳もありがとうございます。
それにしてもなんて切ないお歌なのでしょう~。
20歳。まだまだ青春真っ只中ですね~。
人生は長いのに・・そんなに落ち込まなくても。。
って思いました・・。
落ち込んだら起き上がるのに時間が掛かるのでしょうけれど・・
失敗を糧に、起き上がって欲しいですね^^
人生は全て勉強ですからね^^

2013/11/25 (Mon) 19:20 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: まーさん様♪

いつもコメントありがとうございます^^

これは、埼玉の深谷という所で撮った写真です。
この写真は綺麗で私も気に入っていますが、ちょっと淋しげで、こんな歌を聴きながら、感傷に浸ってみたくなりました。

青春時代の真ん中は道に迷っているばかり・・・ありましたね、そういう歌!

私が傲岸不遜で、「無遠慮に世の中を批判していた」のは、二十歳の頃までなんかじゃなくて、本当に「つい昨日」までだった気が・・・(汗)
いろいろ思い出すと、だんだん感傷じゃ済まなくて、結構痛いんですね^^;
年を取って得るもの、失うもの、両方ありますね。。。

2013/11/25 (Mon) 21:46 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: Violetta 様♪

こんばんは^^
コメントありがとうございます^^
フィルム・カメラで撮ると、デジカメより奥行のある写真になるようです。

松崎しげるの歌・・・どんな歌なのでしょう~?
皆さん、いろんな歌を思い出されるようですね^^

私は最近、少しイタリア語を勉強したい気もしています。
随分前ですが、ちょっと読んだりしていた時期もあったのです。
イタリア語のイントネーションが分からないので、身に付かないまま、それきりになってしまっています。
フランス語もイタリア語もどちらもラテン語系の言語で、文法構造などそっくりですから、Violetta 様もイタリア語の歌を歌われるのでしたら、フランス語も早く習得されると思いますよ^^
フランス語は、英語に比べたら、綴りの読み方は規則的じゃないかと思います^^

2013/11/25 (Mon) 22:05 | EDIT | REPLY |   

ドナ夫  

情緒あふれるお写真ですね。
そして、埼玉の深谷でのお写真だったんですね。
深谷は、しばしば仕事で訪れたことがあるので、懐かしい気持ちになりました。

20歳あたりは、あまり冒険らしい冒険はしませんでしたが、それでも好戦的で、随分トゲトゲしていたなぁと思います。
そんな過去の自分を愚かしいと思いつつ、その過去があるから今の自分があるのかなと、愛おしくも思います。
でも、本当に、月日の流れは速いものですね。

2013/11/26 (Tue) 22:55 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: ドナ夫様♪

コメント、どうもありがとうございます!
返信が遅くなってしまって、すみませんでした。

ドナ夫様もお仕事で深谷にいらしていたのですね。
東京からでも、結構遠いですよね。
うちからですと3時間は掛かり、往復で6時間ですが、主人も仕事で定期的に行っています。
主人はこの辺りの景色が気に入っているようで、ちょっとした旅行気分を楽しんでいるようです^^

本当に、若い頃の自分があるから、今があるとも言えますね。
人生のいろんな時期が、それぞれ異なる勉強なのだなぁ、と思います。

2013/11/27 (Wed) 18:11 | EDIT | REPLY |   

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