Diva ◇ 『ディーバ』◇フランス映画

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1981年、ジャン=ジャック・べネックス監督のフランス映画で、話題になりましたから、当時ご覧になった方も大勢いらっしゃると思います。

ストーリー展開のテンポや俳優さんたちの個性が良いだけでなく、青を基調とした映像がとにかく綺麗で、最も気に入っている映画の一つです。
音楽も幻想的で、サウンドトラックのCDを持っているくらい好きです。


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主人公の郵便配達夫ジュールはクラシックマニアで、シンシア・ホーキンスという誇り高い美貌の黒人オペラ歌手に憧れ、心酔しきっています。
シンシアは芸術家としての信念から、生演奏を行うのみで、レコード発売の契約に応じようとしません。
ある日、ジュールはシンシアのコンサートに行った際に、その歌声を密かに録音し、ついでに楽屋で彼女のローブまで盗んで行ってしまいます。
その時のテープの存在が悪徳レコード業者の目にとまり、ジュールも付け狙われることになりますが、後でシンシアも脅迫じみた仕方でレコード契約を迫られ、苦しむことになります。

その一方で、命を狙われた売春婦が、逃亡の最中、ジュールのミニバイクのポケットに一本のカセット・テープを滑り込ませます。
そのテープは、巨大な人身売買組織の黒幕の正体を告発するという内容のものでした。
この二本のテープの存在が交錯し、ジュールは殺し屋にまで追われることになり、彼を取り巻く危険は複雑なものとなります。

そうした状況の中でジュールを助けるのは、万引きの手口に長けたキュートなベトナム人少女アルバと、その恋人の謎のギリシア人ゴロディッシュ。
最小限の労力で、涼しげに事件を解決させてゆく、ゴロディッシュの手際が鮮やかです。
結局彼は、売春婦の告白テープと引き換えに、その黒幕から大金をせしめるんですよね・・・。
ジュール、アルバ、ゴロディッシュ、人種も趣味も一見ばらばらだけれど気の合うこの三人には、どこか共通点があります。

そもそもこの映画では、主要な登場人物のほとんどが、フランス人以外の外国人です。
それは、現代のパリそのものでもあるのですが。


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こうしたサスペンス的な部分が主な筋立てですが、更にこの映画で素敵なのは、その間に展開されるジュールとシンシアとの関係です。

ジュールは豪華な花束を手にして、自分が盗んだローブを返しに、シンシアが滞在しているホテルを訪ねます。
「私はビートルズやディスコの歌手なの?」と、彼女は最初、憤慨します。
しかし、ジュールが彼女の前年のコンサートを聴きに、パリからミュンヘンまで(特急列車でも10時間はかかる距離を)ミニバイクで来たことを聞くと、「あの時の青いローブは盗まれなかったわ。青はお嫌い?ローブ泥棒の郵便屋さん」と意地悪を言いながらも、<サティの曲>のようなジュールに心を許してゆきます。
彼女は、自分の歌の真の聴き手がそこにいることを知るのです。

ジュールはもともとシンシアのファンだし、シンシアはジュールよりずっと年上で、二人の関係は男女関係ではないのですが、そこが魅力です。

二人のデート・シーンが、美しく、幻想的です。
フランスの夏は、夜10時頃までは薄明るいので、これは夏の夜のシーンみたいですね。
この時ジュエリーをたくさん身に着けたシンシアの事を「夜の女王」とか言っていますし、この後、ジュールはシンシアのホテルのソファーに泊めてもらっていますから。
あ~~、そんな関係、絶対にワクワクしますよね!






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2 Comments

凛  

素敵なお話

フランス映画は数える程しか観たことはない私ですが、あらすじを読んで、とても素敵なお話だなぁと惹かれました。

最初の方の展開は、ハリウッド映画にも似たようなストーリーがあったなぁと思いましたが、微妙な恋愛のようなそうじゃないような関係の描写を絡めるあたり、そしてベトナム人とギリシア人のカップルと出会ってからの展開あたりに、フランス映画らしさを感じました。

子供が産まれてから実は一度も映画館に行っていないのです。すごく行きたくなりました。

2013/08/28 (Wed) 21:43 | EDIT | REPLY |   

Ariane  

Re: 凛さん♪

コメントありがとうございます!
これは30年以上も前の映画で、私もあまり映画館には行かないのです。
凛さんは、小さなお子さんがいらっしゃると、ちょっと行きにくいかもしれませんよね。

こちらの映画は、映像や音楽がお洒落で、出てくる俳優さんたちが、役者さんらしい人たちで、それも面白かったです。
『アメリ』にも出てきたドミニク・ピノンが、殺し屋の役でした。私はゴロディッシュ役のリシャール・ボーランジェがわりと好きでした。

いわゆる恋愛とは少し違う関係を描いたものって、結構好きです。
昔、『いちごとチョコレート』という、ホモの男性と普通の若い男性との友情を描いたキューバの映画があって、それも気に入っていました。

2013/08/29 (Thu) 01:26 | EDIT | REPLY |   

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