潜水服は蝶の夢を見る

img008-001.jpg



もう数年前の映画ですが、DVDを買って来て、最近初めて見ました。

雑誌『ELLE』の編集長だったジャン=ドミニク・ボビーの自伝です。
働き盛りの42歳の時脳溢血に倒れ、3週間の昏睡状態の後意識と記憶を取り戻しますが、ロックトインシンドローム(閉じこめ症候群)という全身麻痺の状態に陥ります。
耳は聞こえても、動かせるのは左目だけ。

その左目のまばたきで一文字ずつ示してゆき、それを編集者が書き留めるという仕方で、彼は一冊の本を書き上げます(原題:Le scaphandre et le papillon , 2007年)。
最初に文章を考えておいてから、単語の一文字ずつを時間と手間をかけて編集者に伝えるのです。
一冊を書くのに要したまばたきの回数は約20万回。
気の遠くなるような作業です。

「古ぼけたカーテンの向こうから、乳白色に輝く朝がやってくる・・・」

それは私たちが想像するような貧しい世界ではなく、むしろ豊かと言って良いような世界です。


この映画を観て、数年間、認知症で寝たきりだった祖母の事を思い出しました。
「生きる価値がない」と人が簡単に思うような人生に、一体どれだけの深みと重み、人格の尊さと世界の広がりとがあるのか、それを改めて感じさせられました。

奇跡的に一度は死を免れ、一年数ヶ月をこうした状態で過ごしたジャン=ドミニク・ボビーでしたが、結局彼は、この本が出版された十日後に、肺炎であっけないように亡くなってしまいます。


映画『潜水服は蝶の夢を見る』オフィシャルサイト

映像も非常に綺麗でした。



関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment