エゲリア

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脚本家(兼俳優)、瀬戸口郁さんのお芝居を見に行きました。
小説家で歌人の岡本かの子を描いた『エゲリア』です。

かの子の破天荒なエピソードはたくさんあり、太郎を紐で柱に縛り付けて歌を詠んでいたという話は有名です。
家にかの子の愛人を同居させるという、夫一平との型破りな夫婦生活もよく知られています。
家事は一切できず、岡本家の家事を担っていたのは、学生時代から下宿していた歴史学者の男性だったようです。

かの子は「真実の生活」を求め、皆を巻き込み、その中で小説を書くのですが、見ているうちに、これが「真実の生活」に見えてくるところが面白かったです。
才能に恵まれた人たちとの共振現象のようなものから、かの子の作品が生れます。
それぞれの登場人物に魅力と持ち味があり、「こんな人たち、いいなぁ」と思わせます。
俳優さんたちも皆素敵で、上手かったです。
人と人との関わりの暖かさを感じます。
出て来る人皆を好きになってしまうようなお芝居というのは、質が良いのだと思います。
特異な生活スタイルや奇癖ばかりが強調されるようだとつまらないのですが、「変に突拍子がない」という感じもせず、自然と軽快なテンポの中に引き込まれていきました。
大正デモクラシーの頃の活気も懐かしいです。

岡本一平という人は不思議な人だと言われますが、私もこのお芝居を見て、ちょっと興味を持ちました。
一平は、初めの頃は放蕩三昧で、家庭をかえりみませんでした。
この人は、美術学校の西洋画科を出た後、解説文の付いた漫画を書いて売れていた人です。
かの子に「芸術、芸術」と言われたら、家に寄り付かなくなるのも尤もですよね。
漫画散文は一平の才能の生かし所だったのでしょうけれど、でもそれは芸術ではないと、自分でもどこかで物足らなさを感じていたのではないだろうか。。。
かの子が神経衰弱になって入院すると、一平は心を入れ替えて、かの子のために生きるようになるのですが、きっと、かの子が大変になって初めて、一平も力の発揮のしがいが出てきたのかもしれない、なんて想像しました。
夫婦関係も、人間関係の一種。
人間関係に「真実」を追求し出したら、これもありなんだろうな、と思いました。
何か、混じり気のない、生の「真実」を見た気がしました。

舞台装置にも動きがあって、このお芝居のテンポを一層良くしているように見えました。
衣装も素敵でしたし、ラストシーンも綺麗です。
今月23日(日)まで吉祥寺シアターで公演しています。


文学座公演『エゲリア』

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